翻訳業界の「申し送り」について

⑦翻訳に対する姿勢
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本日は、翻訳のお仕事をする際に必要となってくる「申し送り」について説明していきます。

一般的な翻訳業の申し送りとは何か、なぜ重要か、そしてその範囲はどこまで及ぶのかを簡単にご説明します。

最初に申し上げますが、翻訳業界の申し送りは翻訳のプロジェクトにかかわるすべての方の利益になり、きわめて重要な作業だと思っています。

この記事で説明する申し送りは一般的なものであり、 もしかしたら翻訳会社や顧客によってその定義は異なるかもしれません。この点についてはご了承ください。

本記事の内容は、7つの翻訳の技術のうち「翻訳に対する姿勢(翻訳に必要な7つのカード参照)」に該当します。

「申し送り」とは

ここでお話しする「申し送り」とは、翻訳者が翻訳会社または顧客に翻訳物を納品する際に いっしょに渡すメモ書きのことを表します。

このメモには、翻訳の品質に影響のあることで「翻訳者が解決できないこと」や「その他気になった点」を記載します。

方法としては、エクセルシートやメール、CATツール内のコメント機能など様々な形式で申し送りすることになります。

実際には、翻訳作業をしながら気づいた点は随時メモしていき、翻訳作業の終了後に少し体裁を整えて渡すのが通常の流れかと思います。

申し送りには何を書くか

申し送りには広い意味では「翻訳者が解決できないこと」を書くことになります。

具体的には以下のような内容になります。

  1. リサーチをしても確認が取れなかった固有名詞の翻訳について
  2. リサーチや知識を使っても確認の取れなかった原文の意味
  3. 原文の間違い(タイポや明らかに意味がおかしいものなど)
  4. 翻訳物のレイアウトの問題で解決できそうにないこと
  5. その他気になった点

上記のような翻訳の品質に関して問題があれば報告したほうがいいわけです。

申し送りはなぜ重要か

一般的なビジネスにおいて、社会人は業務中に何か気づいたことがあれば注意喚起する意味で同僚や上司、顧客に自然に申し送りをしていると思います。

翻訳業においてもこれは同じで、翻訳の品質に関連する注意点があれば後の工程に待つ作業員に対して申し送りをします。

申し送りする理由は、以下の3つの意味で重要だと考えられるからです。

1.翻訳の品質を向上させる

よくある翻訳業務の形では、翻訳者による翻訳作業の後の工程で「校閲者(レビュアーまたはチェッカーともいう)」による翻訳物の確認作業が入ります。

翻訳の品質を守る点では校閲者が最後の砦になると思いますが、時間の関係上、校閲者でも気づけない点は往々にして出てきます。

そのためにも前工程の翻訳者による翻訳の書き起こしのステップで、気づくことのできる問題点は校閲者に共有しておいたほうがよいのです。

翻訳の品質の底上げに繋がります。

2.顧客の満足度を向上させる

原文の間違いやリサーチしても確信に至らない訳語などは、翻訳者・翻訳会社側ではどうすることもできません。

しかし、こういった問題について顧客に教えてあげれば、顧客の持っている情報等で対処できることがあります。

顧客が原文の間違いを知らされたときはどう思うでしょうか。

もしその原文が大切な文書だった場合はすぐに修正するでしょう。

そしてその翻訳者・翻訳会社との翻訳体験の満足度は上がるに違いありません。

小さな申し送りの積み重ねが顧客との良好な関係に繋がります。

3.翻訳者としての信頼感を向上させる

上記だけ見ていると、申し送りを書くことで何らかの利益を得るのは翻訳会社や顧客・エンドユーザーだけじゃないかと思ってしまいますが、そんなことはないと思います。

優れた「申し送り」は確実に翻訳者の評価を上げます。


細かいところまでよく気づいて申し送りできる翻訳者は、翻訳会社または顧客会社内で「信頼できる翻訳者」として評価され頼まれる案件が増える可能性があります。

このように申し送りは、何らかの形で校閲者・顧客・エンドユーザー・翻訳者といった翻訳に関わるすべての人々のためになるので重要なのです。

申し送りはどこまでするべきか

申し送りの重要性についてはわかりましたが、実際の業務で申し送りはどこまでするべきか悩むことがあるかもしれません。

私は翻訳業では品質がもっとも大切と考えるため、できる限り気づいた点は報告するべきだと思っていますが、このメモを書くのにも時間がかかります。

そして一般的には申し送りを書く作業自体にはお金は発生しないので、自分の時間も大切にしつつ上手に申し送る必要があります。

例えば同じような意味合いの申し送り事項があった場合は、うまく説明してひとつの申し送りにまとめることができます。

また、事前に翻訳会社や顧客と話し合って「どこまで申し送りするべきか」その線引きをしっかりと決めてもいいかもしれません。

翻訳会社・顧客も文字でいっぱいの申し送り事項を読む時間を捻出できないと考えられるためこういった話し合いは有意義だと思います。

まとめ

本日は翻訳業の申し送りについて簡単に説明してみました。

以下が本日のまとめになります。

翻訳の申し送りについて

・申し送りとは「翻訳者が解決できないことをまとめたメモ」
・エクセルやワード、その他の方法で翻訳物と一緒に納品する
・何らかの形で翻訳に関わるすべての人々のためになるので非常に大切
・申し送りの範囲は決めておいたほうがいい

以上です。

お忙しい中最後までお読みいただきどうもありがとうございました。

何か有益な情報をお届けできたならば幸いです。

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