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耳で聞いて口で話して、目で読んで手で書いて。

⑦翻訳に対する姿勢

2021年5月16日(日)、「翻訳フォーラム・シンポジウム2021~力のつけ方、のばし方~」に参加しました。朝10時から夕方の5時までのオンラインシンポジウム。ひとことで表せば「内省と発見の6時間」でした。

本シンポジウムで議論された内容は、(1)翻訳フォーラムメンバーの方々がこれまで共著書『翻訳のレッスン』や各種セミナーなどで一貫して語られてきた大切な考え方と、(2)翻訳者としてさらに前に進むための新しいアイデアに大きくわけることができると思います。そしてこの情報のバランスが私にはよかったと感じました(新しいことばかりだと頭がパンクする)。

まず、この2つを次に列挙します。

1.これまで語られてきた大切な点

  • 翻訳の現代定義「絵の一致」を試みることとその方法
  • 翻訳は一人四役の不自然な行為であり、気を抜くとスキルが落ちる点
  • 辞書の使い方
  • 人に教わるメリット
  • などなど

2.私にとっての新しいアイデア

  • 絵の最低ライン。5WはもちろんH(方向・程度・距離感)を描くこと
  • 翻訳者としての急成長期とその後に何をすべきか
  • 実務も学習時間に入れること
  • 速さを追い求めると質が下がる
  • 読み方は読者次第。訳文はいろいろな解釈を持たせないようにシンプルに。
  • シャドウイングの効果。音と文字が一致する翻訳を目指すこと
  • 衛星図と逐次読みのトレーニング
  • 国文法の重要性(ヘンな日本語の回避といろいろな構文を知ること)
  • 自分の書く言葉に意識的になること
  • 日本語の特徴を知り、なるべくよく使う日本語を使うこと(=人がにじむ文章)
  • 人がにじむ文章も大事だが、最後はバランスの問題となること
  • 自分で考えて学習していく力
    +機械翻訳については翻訳者による情報発信が大切

自分に合った翻訳の学習法を考える場

今回のシンポジウムの題目は「力のつけ方・のばし方」であり、実力と経験を持つ翻訳者の方々が各々の学習法を主に発表し、視聴者がそれについて考えるという会でした。

第一線で活躍されている翻訳者の方々が、 共通する部分はあるにせよ違う方法で、かつ長い時間をかけて本物の翻訳の力をのばしていることを知りました。

たとえばAさんは、ブログごとに敬体と常体を使い分けることで両文体をバランスよくトレーニングしているそうです。このシンプルかつ強力な日本語の練習法には驚きました。Bさんはシャドーイングや衛星図・逐次読みなどの私が一生かけても思いつかないような学習法を提案し、Cさんは一貫して膨大な辞書から学びを得ていると示しました。また、「日本語構文マラソン」の様子からは、英日翻訳を考えるうえでの国文法・構文の大切さが痛いほど伝わりました。

では自分は、翻訳の校閲者4年目の私はどう学んでいくべきか。おそらくあまり変わりません。これは本シンポジウムが役に立たなかったというわけではないです。おかげさまで、有益な本を購入できましたし、学習の焦点も国文法や構文寄りにしようと思え、実際に考え方と行動が変わりました。しかし、以前より当面の学習内容は決まっているのですぐに変えることはありません。これからも他の方々の意見も参考にして、自分の頭でよく考えて、自分の特性・状況・思いによく合った楽しい学習方法を選び続けていこうと思います。

学習方法の抜本的な変更はないにせよ、様々な意見を聞き、自分の現状を再認識して微調整をすることができました。というわけで、今回のシンポジウムは自分に合った翻訳の学習法を改めて考えさせてくれる場になったといえます。

耳で聞いて口で話して、目で読んで手で書いて。

シンポジウムを通して、翻訳学習において大切なことは意識して言語を「耳で聞いて口で話して、目で読んで手で書くこと」なのだと思えました。

英日翻訳と言えば「英文法」の勉強が最も大事かのように思われる節がありますが、このシンポジウムではどちらかというと日本語(国文法・構文)に焦点が当てられていました。そして、シャドーイングの話で日本語の音の大切さを知ったときに、翻訳のスキルは点ではなくもっと立体的なもので、五感をフルに使って学ぶべきものだと思えました。つまり、英語と日本語をよく聞いて、話して、読んで、書くということ。あたりまえといえばあたりまえのことですが、私にとっては大きな発見でした。

意識さえしていれば、ブログを書くことだけでなく友人と話すことやカラオケで歌うことでさえ翻訳の力に結び付く……かもしれない。こう考えると、なんだかもっとアクティブに体を動かしたくなります。:)

おわりに

今回のシンポジウムで語られたテーマは複数ありましたが、その一つひとつが個別のセミナーでしっかり説明を受けたいと思えるような深みのあるものでした。「内省と発見の6時間」 。このシンポジウムで理解できなかったところが私のウィークポイントです。弱みの克服と強みの向上だ。焦らずゆっくり翻訳の校閲者として前に進んでいきます。

シンポジウムの登壇者の方々、参加された方々、みなさんどうもありがとうございました。最近なんとなく良くも悪くも起伏のない日々が続いていましたが、おかげさまで実りのある刺激的な一日になりました。

さて、今日もめいっぱい日本語に触れよう。

最後まで読んでくれてありがとう!

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